腰部脊柱管狭窄症
歩くと足がしびれる。
少し休むと、また歩ける。
こんな症状はありませんか?
- 少し歩くと足がしびれて、休むとまた歩ける
- 前かがみになると楽になる/自転車なら平気なのに、歩くとつらい
- 以前より、続けて歩ける距離が短くなってきた
- 治療を続けているが、しびれや歩くときの痛みが残っている
- 歩いていると足の裏の感覚が鈍くなり、砂利の上を歩いているような感じがする
「買い物の途中で、何度も座って休まないといけない」——
このようなお悩みをご相談いただくことがあります。
受診の目安
次のような症状があれば、一度ご相談ください
- 歩くと足がしびれる・痛む。休むと、また歩ける
- 足に力が入りにくい。つま先が上がらない。階段でつまずく
- おしりや股のまわりの感覚が鈍い
- 尿や便が出しづらい、感覚が以前と違う
- 歩ける距離が短くなってきた
これらが数週間〜数か月続いている場合でも、様子を見ずに一度ご相談ください。腰部脊柱管狭窄症では、症状の出かたから「どのタイプか」を見きわめることが、治療方針を決めるうえで重要になります。
症状が新しく出た場合・急に強くなった場合
おしり・股のまわりの「痛み」が主な方へ
痛みが主な症状で、感覚の変化や、尿・便の変化、脚の力の低下をともなわない場合は、痔などの肛門の病気や、筋肉・関節が原因のこともあります。当院は肛門外科も担当しておりますので、ご相談ください。
腰部脊柱管狭窄症とは
背骨の中には、神経が通る「脊柱管(せきちゅうかん)」というトンネルがあります。年齢とともに背骨の関節や靱帯が変化して、このトンネルが狭くなり、中を通る神経が圧迫されて、足のしびれや痛みが出るのが腰部脊柱管狭窄症です。
そのため、中高年以降の方に多くみられます。
特徴的なのは「歩くとつらく、休むとまた歩ける」
しばらく歩くと足のしびれや痛みが強くなって歩きにくくなり、前かがみで座って休むと、また歩けるようになる。これが、腰部脊柱管狭窄症でよくみられる症状です(間欠性跛行といいます)。
歩くと足がしびれ、休むとまた歩ける——腰部脊柱管狭窄症で最もよくみられる症状です
前かがみになると神経の通り道が広がるため、症状が軽くなります。次のような方は、この病気の可能性があります。
- 自転車には長く乗れるのに、歩くとすぐつらくなる
- スーパーのカートを押していると、楽に歩ける
- 上り坂より、下り坂のほうがつらい
そのほかの症状
おしりから太もも、ふくらはぎ、足先にかけて
足の裏に紙が貼りついたよう、砂利の上を歩くような感じ
歩いているときに強くなることがあります
つま先が上がりにくい、階段でつまずきやすい
出しづらい、残った感じがする など
腰の痛みは、必ずしも強くありません。「腰は痛くないのに、足がしびれる」という方も多くいらっしゃいます。
3つのタイプ(神経根型・馬尾型・混合型)
腰部脊柱管狭窄症は、症状の出かたによって3つに分けられることがあります。画像だけで決まるものではなく、お話をうかがうことと、診察が中心になります。
片方の脚の痛みが中心になることが多いタイプです
両脚や、おしり・股のまわりまで、感覚の異常が広い範囲に出るタイプです
この両方の要素をあわせ持つタイプです
どのタイプかによって、選ぶお薬も、注射の考え方も変わります。
この病気の経過について
狭くなったトンネルそのものは、自然に広がることは期待しにくいとされています。
一方で、すべての方の症状が進んでいくわけではありません。楽になる方も、大きく変わらないまま経過する方もいらっしゃいます。症状をおさえながら、歩ける距離を保っていくことが治療の目標になります。
似た症状との見分け
※以下は一般的な傾向です。例外もありますし、両方が重なっていることもあります。
腰椎椎間板ヘルニアとの違い
| 腰部脊柱管狭窄症 | 腰椎椎間板ヘルニア | |
|---|---|---|
| 多い年代 | 中高年以降 | 20〜40代 |
| 原因 | 年齢による 神経の通り道の狭まり |
背骨のクッション(椎間板)の 一部が飛び出す |
| 姿勢 | 前かがみで楽になる | 前かがみで悪くなることがある |
| 歩くと | つらくなり、休むとまた歩ける | 座っているときや前かがみで つらいことが多い |
| 経過 | 狭まりは自然に戻りにくい | 自然に小さくなる場合がある |
足の血流が原因のこともあります
「歩くと足がつらくなり、休むと楽になる」という症状は、足の動脈が細くなる病気(閉塞性動脈硬化症)でも起こります。
見分けの目安は姿勢です。腰が原因の場合は前かがみになると楽になりますが、血流が原因の場合は姿勢に関係なく、立ち止まるだけで楽になります。ただし、症状だけでは区別できないこともありますし、両方が重なっていることもあります。
当院では診察のときに足の脈や皮膚の状態も確認し、血流の病気が疑われる場合は、検査ができる医療機関をご紹介します。腰だと決めつけないことが、遠回りを防ぎます。
腰部脊柱管狭窄症と似た症状を起こす病気
腰やおしりから足にかけての症状は、脊柱管狭窄症以外が原因のこともあります。また、脊柱管狭窄症と別の原因が重なっていることもあります。当院では、代表的なものとして次を確認します。
● 股関節の変形(変形性股関節症)
股関節の痛みが、おしりや太もも、膝のあたりに出ることがあります。問診票や画像だけでは腰の病気と区別しきれないことがあるため、股関節そのものの動きを診察することが大切です。
● 腰やおしりを通る細い神経の障害(上殿皮神経・中殿皮神経)
腰骨のふちやおしりの奥を通る細い神経が締めつけられて、腰・おしり・足に症状が出ることがあります。腰のレントゲンやMRIだけでは分かりません。押すと症状が出る場所を探すことが手がかりになります。
● おしりの奥の筋肉が神経を刺激するもの(梨状筋症候群)
おしりの奥にある梨状筋という筋肉が坐骨神経を刺激するもので、画像では分かりにくいことがあります。
● 足の血流の問題
上記「足の血流が原因のこともあります」をご覧ください。
これらは、症状の経過、股関節の動き、押したときに症状が出るか、足の脈、画像検査などを組み合わせて判断します。腰やおしりの細い神経の障害では、症状が再現される場所を探し、必要に応じて注射への反応も参考にします(超音波を使って行います)。
当院の診察と診断の流れ
① お話をうかがいます
どのくらい歩くと症状が出るか、どうすると楽になるか、いつから続いているか、これまでどんな治療を受けてこられたか。この「歩きかたと姿勢の情報」が、診断の大きな手がかりになります。
② 診察
足の感覚を調べる、つま先立ちやかかと歩きで力を確認する、膝やアキレス腱の反射をみる、足を持ち上げて痛みの出かたをみる、足の脈を確認する——といった診察を行います。
③ レントゲン検査
背骨の並び、ずれ(すべり症)の有無、ぐらつきなどを確認します。
④ MRI検査
神経の通り道がどこで、どのくらい狭くなっているかを確認し、症状や診察の所見と合っているかを検討します。当院にMRIはないため、近くの連携医療機関で撮影していただきます。紹介状をお書きしますので、撮影後に画像をお持ちください。当院でご説明します。
手術をしない治療
まずは手術をしない治療から始めるのが基本です。「お薬」「リハビリ」「ブロック注射」を、症状に合わせて組み合わせます。
お薬
症状のタイプに応じて検討します
症状、年齢、腎臓の働き、副作用を確認しながら量を調整します。すべての方に効くとは限りません。とくにご高齢の方では、眠気・ふらつき・転倒に注意が必要です
痛みが強い時期に、症状に合わせて用います
効果が十分でない場合に検討します
腰まわりの張りが強い場合に併用します
リハビリ(運動療法)
症状や体力を確認したうえで、休憩をはさみながらの歩行練習、体のかたさをとる運動、筋力や姿勢の運動などを、一人ひとりに合わせて組み合わせます。すべての方に同じ運動を行うわけではありません。
腰部脊柱管狭窄症に対するブロック注射
お薬とリハビリで十分な改善が得られない場合、症状や診察の所見に応じて検討する方法のひとつがブロック注射です。痛みの原因と考えられるところに薬を届け、炎症や痛みの悪循環をやわらげることを目的とします。
痛み止めの飲み薬では変わらなかった方が、注射で楽になることもあります。
効果の程度や、どのくらい続くかには個人差があります。注射だけに頼らず、お薬・リハビリと組み合わせて、歩ける状態を保つことを目指します。
当院で行っている注射
● 神経根ブロック注射
症状の原因と考えられる神経のつけ根に、局所麻酔薬を用い、必要に応じてステロイドを合わせて注射します。どの神経が症状に関わっているかを確かめる意味もあります。当院ではレントゲン透視で位置を確認しながら行います。
● 仙骨硬膜外ブロック注射
おしりの骨(仙骨)にある隙間から、神経を包む膜の外側に薬を入れます。神経根ブロックより広い範囲に効くため、両足に症状がある場合などに検討します。
● トリガーポイント注射
腰まわりの筋肉の張りやこりが強い場合に、押して痛むところへ注射します。
● ハイドロリリース
神経の通り道の外側にある筋膜や、細い神経のまわりなど、別の原因が疑われる場合に検討します。保険診療の範囲で行っています。
位置を確認しながら行います
神経根ブロック注射はレントゲン透視で、そのほかの注射は超音波(エコー)で、体の中を見ながら針の位置を確認して行います。
これまでの治療で痛み・しびれが残っている方へ
ほかの医療機関でお薬、リハビリ、注射などを受けていても症状が続いている方のご相談を承っています。治療を続けても症状が残る場合や、診断・治療方針について確認したい場合も、一度ご相談ください。
これまでの診断や治療を否定するのではなく、症状の経過、診察でわかったこと、画像、お薬の効きかたと副作用を整理し、次を確認します。
- 画像と症状が合っているか
- 腰以外に原因が隠れていないか(上記「似た症状を起こす病気」)
- お薬の種類や量に、調整の余地があるか
- ブロック注射が適しているか
- 手術を考えたほうがよい状態ではないか
受診のときに、お薬手帳、紹介状、MRIの画像などをお持ちいただけると、これまでの経過をより正確に確認できます。
手術を考えたほうがよい場合
- 尿や便の障害、おしり・股のまわりの感覚の低下
- だんだん強くなる筋力の低下(つま先が上がらない、階段が上れない)
- 歩ける距離が短くなり、生活に大きな支障が出ている
- 手術をしない治療を十分に行っても、改善が得られない
当院では「痛みをやわらげること」だけでなく、「この患者さんに手術を考えたほうがよいか」という判断を、診察のたびに行っています。必要と判断した場合は、症状に応じて大学病院や、脊椎の手術を行っている医療機関へご紹介します。紹介状をお書きします。
よくあるご質問
脊柱管狭窄症にブロック注射は効きますか?
ブロック注射は痛いですか?
副作用はありますか?
何回まで受けられますか?
注射が効かなかったのですが、もうできることはないのでしょうか?
院長紹介・アクセス
院長 河野 大(こうの だい)
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
「歩ける距離が短くなってきた」「治療を続けているのに変わらない」——そうしたご相談に対し、手術をしない治療でできることをお伝えし、実行することが私の役割だと考えています。
同時に、整形外科医として手術を考えたほうがよいタイミングを見きわめ、必要な場合には適切な医療機関をご紹介することも大切にしています。
西新駅前こうの整形外科・おしりとおなかクリニック
〒814-0002 福岡県福岡市早良区西新4丁目8-38 2F
※お電話(092-832-3350)は自動音声(IVR)でのご案内です。ご予約はWEB予約が最もスムーズです。
早良区・西区はもちろん、博多区・中央区・東区・糸島市からも地下鉄でお越しいただけます。
参考文献
1. 日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会 監修.「腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2021(改訂第2版)」南江堂
歩くと足がしびれる、休むとまた歩ける——
そのつらさ、一度ご相談ください。




