肘部管症候群2026
肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)
─ 肘の内側から小指・薬指にしびれや力の入りにくさが出ている方へ
こんな症状でお困りではありませんか?
- スマホ・PC・読書で肘を曲げていると小指側がしびれてくる
- 小指と薬指の半分に、ジンジン・ピリピリとしたしびれがある
- 握力が以前より弱くなった気がする
- 箸が使いにくい、ボタンのかけ外しが大変になってきた
- 湿布やビタミン剤を続けているが、なかなか改善しない
1つでも当てはまる方は、一度ご相談ください。
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肘部管症候群とは?
─ 肘の内側の神経が圧迫されて起こる手のしびれ
肘部管症候群とは、肘の内側にある狭いトンネル「肘部管」の中を通る尺骨神経(しゃっこつしんけい)が、慢性的に圧迫または引っ張られることで起こる末梢神経障害です。
肘の内側には、骨と靭帯に囲まれた「肘部管」と呼ばれるトンネルがあり、その中を尺骨神経が通っています。尺骨神経は前腕の内側を通り、小指と薬指の小指側半分の感覚と、手の中の細かい筋肉(手内筋)の動きを支配しています。
この神経が障害されると、小指・薬指へのしびれや痛みが現れ、進行すると握力の低下や指の細かい動作が難しくなります。上肢の末梢神経障害のなかでは、手根管症候群(中指・人差し指のしびれ)に次いで頻度の高い疾患です。
こんな場面・症状で困っていませんか
しびれ・感覚の異常
- スマホ操作や読書など、肘を曲げた姿勢を続けると小指・薬指がしびれる
- 就寝中に肘を曲げた姿勢で寝ていると、しびれで目が覚める
- 前腕の内側から小指にかけてジンジン・ピリピリとした感覚がある
- 肘の内側を軽く叩くと、小指・薬指の先まで電気が走るような感覚がある
手の動かしにくさ・力の入りにくさ
- 瓶のフタや硬いものが以前より開けにくくなった
- 箸の操作や細かいつまみ動作が不自由になってきた
- ボタンのかけ外しに時間がかかるようになった
- 小指・薬指が完全に伸ばしにくく、曲がったままのような感じがある
肘部管症候群の原因とリスク
肘部管症候群は、肘部管の中で尺骨神経が圧迫・牽引される状態が慢性的に続くことで起こります。原因はいくつかあり、複合して関与することもあります。
肘を深く曲げると肘部管の内圧が上がり、尺骨神経が引き伸ばされます。スマートフォン操作、PC作業、読書、頬杖をつく習慣が長時間続くと慢性的な神経への刺激につながります。
年齢とともに肘関節に骨のトゲ(骨棘)ができたり、靭帯が厚くなることで肘部管が狭まり、尺骨神経を圧迫します。
野球(投球動作)、柔道、テニスなど肘を繰り返し強く使うスポーツ選手や、振動工具を使う職業の方はリスクが高くなります。
このほか、過去の骨折後の変形治癒や、ガングリオン(良性の腫瘤)による圧迫が原因になることもあります。
当院での診察・検査の流れ
肘部管症候群の診断は、問診と身体診察を中心に行います。「どんな姿勢・動作でしびれるか」「いつ頃から症状があるか」「力が入りにくい感覚があるか」などをお聞きします。
受診のサインになる確認ポイント
ご自身でも気になる場合は、次の点を確認してみてください。受診の判断材料になります。
- 肘を深く曲げた状態を1〜2分保つと小指・薬指がしびれてくる
- 肘の内側(内側上顆の後ろ)を軽くトントン叩くと小指・薬指まで電気が走る感じがある
- 上の2つが当てはまる場合、尺骨神経の障害が起きている可能性があります。早めに整形外科を受診することをおすすめします。
当院で行う検査
必要に応じてレントゲン検査で骨の変形(骨棘・変形治癒)を確認します。なお当院では神経伝導検査(筋電図検査)は実施していないため、必要と判断した場合は連携施設をご案内します。
またエコー(超音波)については、治療(注射)の際に針先と周辺の構造を画面上で確認するために使用します。
当院での保存療法
─ 外来でできることを組み合わせて対応します
肘部管症候群の治療は、まず保存療法から始めます。手内筋の筋力低下が進んでいない軽度〜中等度の段階であれば、外来での保存療法で症状の安定・改善が期待できることがあります。当院では以下の3つを組み合わせて対応しています。
肘を長時間深く曲げる姿勢を避けることが保存療法の基本です。スマホ・PC使用中は意識して肘を伸ばし気味に保つ、机に肘をつく習慣を見直すといった日常の工夫をお伝えします。また就寝中に肘を曲げた姿勢にならないよう、夜間スプリント(肘を伸ばした状態に保つ装具)を用いることがあります。夜間スプリントはガイドライン上でも軽症〜中等症に対して推奨されており、当院でも積極的にご案内しています。
ステロイド注射は、肘部管内の炎症を抑え、神経周囲の圧力を軽減することを目的に行います。症状の一時的な緩和と、神経の状態を評価する診断的な目的を兼ねています。繰り返しの使用は行わない方針です。
ハイドロリリース(神経周囲注入)は、エコーで神経を確認しながら尺骨神経の周囲に液体(生理食塩水等)を注入し、神経の滑走を改善する方法です。神経周囲の癒着を剥がす効果が期待でき、症例によっては有効なことがあります。肘部管症候群に対するRCT(臨床試験)はまだ蓄積途上ですが、侵襲が少ない外来処置として選択肢の一つと考えています。
どちらの注射も、エコー(超音波)で針先と周辺の神経・組織を画面上で確認しながら行います。エコーを使わない注射では体表の目印を頼りに針を進めるため目標からずれるリスクがありますが、エコーガイド下では神経を直接確認しながら正確に届けることができます。
理学療法士によるマンツーマンの個別リハビリを行っています。神経の滑走を促す運動(神経モビライゼーション)や、肘への負担を減らす姿勢・動作の指導、日常生活での工夫など、症状と生活スタイルに合わせたリハビリをご提案します。
運動器リハビリテーションは、特に初期〜中等症において保存療法の一環として有益と考えられています。
整形外科専門医・河野 大(日本整形外科学会認定 整形外科専門医・スポーツ医)が診察・治療を担当します。肘部管症候群は「できる範囲の保存療法を外来で丁寧に行い、必要なタイミングで適切な施設へつなぐ」という方針で診療しています。エコーガイド下注射・夜間スプリント・運動器リハビリを組み合わせ、患者さん一人ひとりの状態に合わせた対応を行います。
手術を検討する場合
─ 保存療法が難しいときの考え方
保存療法で対応できる範囲は外来で継続しますが、以下のいずれかに当てはまる場合は、手術に対応できる専門病院へご紹介します。
- 手内筋の筋力低下・萎縮が出現している(最重要のサイン。進行する前に対処することが予後を左右します)
- 保存療法を続けても症状が改善しない
- 症状が急速に悪化している
手術では、靭帯を切離して神経を開放する「単純除圧術」や、神経を前方へ移動させる「前方移行術」などが行われます。「手術が必要かどうか」の判断も含めて、まずは外来でご相談ください。
よくあるご質問
肘部管症候群は自然に治りますか?
ビタミン剤(メコバラミン)だけで治りますか?
ブロック注射・ハイドロリリースは効きますか?
手術は必ずしも必要ですか?
スマホ・PCの使用をやめる必要がありますか?
何科を受診すればいいですか?
費用はどのくらいかかりますか?
仕事を休む必要がありますか?
院長紹介・アクセス
院長 河野 大
日本整形外科学会認定 整形外科専門医 / 日本整形外科学会認定 スポーツ医 / 日本抗加齢学会専門医
「しびれが気になるけれど、どこに行けばいいかわからない」「薬を出されたけど良くならない」という患者さんが多くいらっしゃいます。肘部管症候群は、神経の圧迫という物理的な問題があるため、薬だけで根本的に改善することは難しいケースがあります。エコーガイド下注射・夜間スプリント・運動器リハビリを組み合わせ、手術の前にできることを外来で丁寧に行います。まずはお気軽にご相談ください。
当院について
当院は整形外科と肛門外科(おしりとおなかクリニック)の2つの専門外来を持つクリニックです。それぞれの専門医が在籍し、連携して地域医療を支えています。肘部管症候群の診療は、整形外科専門医である院長が担当します。
当院は整形外科専門医と肛門外科専門医が在籍するクリニックです。
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アクセス
参考文献
1. Staples JR, Calfee R. Cubital Tunnel Syndrome: Current Concepts. J Am Acad Orthop Surg. 2017;25(10):e215-e224.
2. Dy CJ, et al. Modern Treatment of Cubital Tunnel Syndrome: Evidence and Controversy. J Hand Surg Glob Online. 2023;5(1):97-105. PMC10382899
3. Seror P. Corticosteroid injection in patients with ulnar neuropathy at the elbow: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Muscle Nerve. 2015;51(2):312-313.
4. Wu YT, et al. Six-month efficacy of perineural dextrose for carpal tunnel syndrome: a randomized, double-blind, controlled trial. Mayo Clin Proc. 2017;92(8):1179-1189.
5. 日本整形外科学会「肘部管症候群」症状・病気をしらべる(joa.or.jp)
小指・薬指のしびれ、握力低下でお悩みなら
まずは西新駅前こうの整形外科へご相談ください。




