予防接種
帯状疱疹予防に最適なワクチン、シングリックス
1.帯状疱疹とは?
帯状疱疹は、多くの方が子供の頃に感染する水ぼうそうと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因で起こります。水ぼうそうを起こしたもウィルスは、体内から排除されることなく神経に潜伏し、疲労やストレス、加齢などによって免疫力が低下したときにウイルスが再活性化し発症します。ウィルスは神経に沿って帯状に、皮膚に赤い発疹や水疱を引き起こすことから、「帯状疱疹」と呼ばれます。症状は個人差もありますが、眠れないほど強い痛みを伴うことが特徴的です。このウイルスの抗体保有率は90%以上と言われ、ほとんどの大人が過去に感染しており、帯状疱疹の発症リスクを皆等しく持っていることは注意しないといけません。
2.帯状疱疹後神経痛(PHN)とは?
帯状疱疹が治癒した後に、痛みが続くことを帯状疱疹後神経痛(PHN)と言い、一定の頻度で発症してしまいます。痛みは、ズキズキ、ヒリヒリ、刺すような痛み、熱を持つような痛みなど様々で、日常生活に支障をきたす痛みも稀ではありません。PHNは帯状疱疹の患者の中でも特に高齢者に多く見られますが、若い方でも疲労、ストレスで免疫力が低下している場合や、抗がん剤、ステロイド治療をしている場合も発症することがあります。帯状疱疹後神経痛(PHN)は帯状疱疹を起こした人の10~50%が起こし、帯状疱疹後神経痛(PHN)を起こした人の10~20%が3ヶ月以上痛みが続くと報告されています。
3.帯状疱疹を予防するには?
基本的には免疫力が低下しないように、体調を整えることが大事ですが、帯状疱疹の予防にはワクチン接種が有効です。ウィルスが再活性化するのを抑えるため、特に50歳以上の人にはワクチンの接種を推奨します。
4.なぜ50歳以上で帯状疱疹ワクチンが重要なのか?
帯状疱疹は年齢と共に発症リスクが増加します。特に50歳を超えると、免疫力の低下やストレスなどが影響して帯状疱疹の発症率が高まります。また、高齢になると帯状疱疹後神経痛のリスクも上がるため、予防が重要となります。
5.ワクチンには不活化ワクチン(シングリックス)と生ワクチン(ビゲン)があります。
シングリックス | 従来のワクチン(ビゲン) | |
ワクチンの種類 | 不活化ワクチン | 生ワクチン |
接種回数 | 2回 | 1回 |
予防効果 |
50歳以上で発症が97.2%減少 70歳以上でPHN発症が88.8%減少 |
帯状疱疹発症が51.3%減少 PHNが66.5%減少 |
持続期間 | 9年で90%以上 |
5年で50% |
長所 |
予防効果が高い 持続期間が長い 免疫が低下している人にも接種できる |
接種が1回で良い 費用が安い |
短所 |
接種が2回 費用が高い |
持続期間が短い 免疫が低下した人には接種できない |
1回の費用 | 22,000円 | 8,000円 |
7.シングリックスの副作用
頻度の高い副反応としては、注射部位の痛みや腫れ、赤みなどが報告されています。その他、胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛)、頭痛、筋肉痛、疲労、悪寒、発熱なども報告されています。
8.シングリックスの接種方法
シングリックスは筋肉内注射です。初回接種した2ヶ月後に2回目を打ちます。遅くとも6ヶ月以内に接種する必要があります。
9.帯状疱疹ワクチンについてよくある質問
Q. 前に帯状疱疹にかかったことがある人でも接種できますか?
はい、接種可能です。過去に帯状疱疹に罹患した方でも、再発を防ぐために接種が推奨されています。
Q. シングリックス接種した後すぐに予防効果は得られますか?
しっかり予防効果を得るには、2回の接種が完了する必要があります。
Q. 他のワクチンとの接種間隔を教えて下さい。
新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種できません。新型コロナワクチンとその他のワクチンは、お互い片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。
それ以外のワクチンは、接種間隔を気にする必要はありません。